バウンス・ベイビー!


 飲みきってなくなったジョッキのお代わりを頼みながら、吉田君が笑った。

「まあ両思いだったからな、ちゃんと収まるだろうって思ってたけど、やっぱりそれを聞くと嬉しいなあ!藤さん、平野と付き合ってるのは卒業してすぐ?俺も3年の最後ほとんど学校行ってないから知らないけど、もしかして卒業する前から?何であいつ教えてくれないんだよー」

 ―――――――うん?

 私はぴたっと静止した。

 一瞬周囲の音が遠ざかったけれど、それは再び騒がしく耳の中に入ってくる。

 ・・・あれ、吉田君、今何て言った?今確か、両思いって・・・?

 だけどそれを聞いてくれたのは澤田さんだった。

「ちょっとちょっと吉田ー!何か今聞き捨てならないこと言ったけど!?両思いって誰と誰が?まさか―――――」

「そりゃ藤さんと平野だろ」

 吉田君があっさりとそういう。

 ええー?と私を含む女子三人が叫んだ。隣に座る前川君も畠中君も、ぽかんとした顔をして吉田君を見ている。あれ?俺だけ?って呟くように言って、吉田君が皆を見回した。

「・・・平野、藤さんのことが好きだったはずだぜ、高3の時。俺知ってるもん」

「は?」

 私は目を見開く。吉田君はちょっと考えるような顔をしたけれど、皆の視線を受けて話し出した。

「えーっと・・・俺あいつとそんな話したぞ、3年の夏終わりにも。藤さんが平野を好きなのは皆知ってるし、ならなんでお前は彼女と付き合わないの?って聞いたし」

 ・・・何だって?

 私は驚いて言葉が出ない。


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