バウンス・ベイビー!


「え、え、どういうこと!?じゃあ両思いだったの、二人!?」

 澤田さんがそう叫んで、吉田君は頷く。

「だからそう言ってるじゃないか。だから俺は、冬にでもどっちかが告白してて、そのまま付き合ってるんだと・・・。あれ?違うの、藤さん?」

 今度は全員が私を見た。

 ・・・ええと・・・あれ?どういうこと?

 私は混乱していたけれど、ねえねえと女子に急かされてとにかく口をこじ開ける。

「・・・いや、ちが、う。あの・・・付き合いだしたのはつい最近で――――――」

 え?という顔を、そこにいた皆がした。

「最近?ってああ、職場で会ったってこと?」

「え、じゃあ大学から付き合ってるんじゃないの?」

 更に突っ込まれたけれど、私は呆然とするばかりでろくに答えられない。その内これは触れてはいけなかったことなのではないか、という暗黙の了解のような雰囲気になって、露骨に話題は変えられた。

「そういえばねえ、あたし谷本センセにこの前偶然会って―――――」

 私は皆と飲みながら、それでも会話に参加出来なかった。

 だって混乱していて。

 平野が、私を好きだった・・・?高校の時?だって告白したよ?だけど断られたんだよ?それってどういうこと。同じ大学にいけなかったからとか?ああ・・・よく判らない。

 笑ってはいるけれど、ちっとも話の中身を聞いてはいない、そんな状態で、私はジョッキを握り締めてそこにいた。

 結局4時間もわいわいと騒いで、お開きとなる。


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