バウンス・ベイビー!


 は?

 私は目が落ちるかと思った。あまりにも見開きすぎて。

「吉田が何をいったか知らないけど、俺はあの頃、色んなことがあってそれどころじゃなかった。理由は勿論あるけど、今は言いたくない。だけどそれってそんなに大事なことか?俺達は今付き合ってるし、気持ちだって判ってる。それじゃダメなのか?」

 今は、付き合ってる。

 お互いの気持ちも判って、二人で一緒にいる。

 それは確かにそう。そうだよね。だけど、だけど・・・。

『それってそんなに大事なことか?』


「―――――私には、大事なことなのよ」


 出た声は小さかった。それに、涙をこらえるあまりにかすれてぼやけてしまった。

 胸が痛い。平野の答えは、今は言いたくない、だ。今がいいなら過去は忘れろ、そういわれたようにも思う。そしてそんなことは、あの時だって言われたのだ。『もう全部忘れて春を迎えるのがいいと思う』。

「・・・ねえ、平野は私のことが好きじゃないって思ってた。だけど再会した時には成長していたから、それで今度は好きになってくれたんだって。そう思えたから、前に進めたのよ。・・・だけどあの時も好きだったなら、どうしてあんなことになったの?それは私には・・・どうでもいいことじゃ、ない」


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