バウンス・ベイビー!
平野は言った。
「自分からあの子を手放したんだからもう忘れろ、と思って、大学では機会があれば女の子の何人かと付き合ったりもした。楽しくても陽気になれても、でも何か違うってずっと思ってた」
恋人ゴッコがしたいんじゃない。それにこの子は、藤じゃあない――――――――――
「だから」
平野は熱をもった腕を私に伸ばしながら言った。
「会えた時は、奇跡だと思った。全然行方知れずだった藤が、目の前で目を丸くして立っていたから」
作業場で会った最初のところを思い出して、私は苦笑する。
全身で冷や汗をかいていた私を目の前にして、ヤツはそんなことを思っていたらしい。・・・でも私の態度は許してね、仕方ないって。だって完全にパニくっていたのだから!
25歳の冬、2月の寒い日、私の部屋で。
暖房をつけていないのに、部屋の中は二人の体温で温かかった。
何度も抱いた後で、平野が目を細めて笑う。
1ヶ月は遊べるんだぜ。
二人で一体どんな遊びをしようか―――――――――