バウンス・ベイビー!
これは事件だよ~!!
私はドアを開けて首を突っ込み、作業場の奥の事務所に向かって大声で叫んだ。
「高峰リーダーああああああ!!岸田さんっていう、美人のお客様ですよ~っ!!」
え?と声が聞こえて、まずはパートさん達がすっ飛んできた。それから包丁を持ったままの田内さんも首を伸ばしてこっちを見ている。
「ちょっと前園さん!私はリーダーを呼んだんですよ!」
「だって千明ちゃんが美人っていうから・・・あらあ~!本当だわ、すごく綺麗なお嬢さん!」
「ちょっと私も!あらまあ、可愛らしい人だこと!」
狭い入口で関係ない人々が入り乱れる。そこへ、事務所から出てきた高峰リーダーが、これ以上できないってほどの渋~い顔で登場した。
「退け退けっ!邪魔でしょう、全く!」
そういってパートさんや私を蹴散らすと、困惑したような声で彼女に向き直る。
「・・・どうしてここに?」
「お弁当、忘れていったでしょう?」
彼女がそういって、持っていた紙袋からいつもリーダーが食べているお弁当袋を取り出した。あ、と言ってリーダーがそれを受け取る。
「ええーっ!!?」
少なくとも、前園さんと私は絶叫した。北浦さんは彼女をガン見していたけれど、叫んだかどうかは判らない。
だってあのお弁当・・・リーダーが自分で作ってるんだと思ってた!節約もしなきゃなー、なんて言っていたのだから。