バウンス・ベイビー!
するとちょっと驚いた顔で平野が振り返った。
そしてぼそっと呟いたのだ。
「・・・ほんとだな」
あ、共感してくれた。
そう思って喜んだのを覚えている。大してインパクトのある返答ではなかった。多分、愛想もなかったと思う。だけど初日で緊張していた私には、その共感は大層嬉しいことだったのだ。
最初に話したこの男子を覚えよう。明日会った時にもちゃんと挨拶が出来るように。そう思っていた。
それからはちゃんと友達もでき、お互いがそれぞれの同性と過ごしていた。だけど何かの縁なのか、どれだけ席替えしても平野と私は席が近かったし、大して選ぶ数もない委員会なども一緒になることが多かった。
いつの間にか、好きになっていた、という感じだ。
何かあの子、気になるぞ。そう思い出したのが夏前だったから、ああそうか、好きなのかも、と思ったのは夏休み明けだろうか。沢山の行事の合間にかわした会話、普段の何気ない交流、そんなことから私の中で彼への恋愛感情が芽生えたってわけ。とにかく女友達と恋愛話をするときには平野の姿を頭の中に浮かべる、その位には好きだったのだ。
そして高校2年生、転機が起こる。
当時私がよく一緒にいた女友達の智美に、話してしまったのだ。
ちーは気になる人、いないの?誰誰?って。よくあるそんな質問に、どうしてあの時答えようって気になったのかは覚えてない。だけど私はその時小声にして平野の名前を口にしたし、智美はとても興奮した。
『そうだったんだ!?平野?へえ~!』