バウンス・ベイビー!


 少し離れて後ろに立つ平野の髪に、桜吹雪が降りかかる。オレンジに染められた景色の中、白い花びらの真ん中に立って、平野が言った。

「俺は早く、藤に追いつきたかったから」

 私は彼を見た。

 平野は穏やかで、真面目な顔をしていた。

「同じ立場で、自分に嘘をつかなくていい状況で。・・・藤に、ちゃんと言いたかったから」

 なに、を?

 心の中でそう聞いた。

 ドキドキしていた。鼓動が耳の中で跳ねて、春の嵐みたいに暴れている。


 俺は、と平野の声が聞こえた。

「ずっとずっと、藤が好きだった」


「―――――――」


 イメージが重なって、キラリと光った。


 ―――――――隼人は美春の手を取って言った。『俺はずっと、お前が好きだった』――――――――――



 あ。

 私は、ふふ、と声を漏らした。


 ・・・平野ったら。

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