バウンス・ベイビー!


 智美は泣きそうな顔で(というか、実際泣いていたかも)、私に謝りまくった。自分のせいだって。本当にご免ね、ちー!って。

 私は呆然としながらも、忙しく頭の中で考えたのだ。

 友達が悲しんでいる。そりゃ私だって悲しんでいる。しかもものすごく、恥かしい。だって私の秘密の思いを、今や学校中が知っているかもしれないのだ!だけど、だけど、これってもうどうしようもないよね?だってもう皆知っているんだし。それに、恥かしいからって平野を諦められるかって聞かれたら無理だし―――――――――

『あたし、あれは嘘だったって言いまくる!だから・・・』

 心配する友達の真ん中で智美はそう必死で言っていた。なかったことにするから!って。そしたら間違いだったのかってことになるように頑張るから、って。周囲もそうだよね、皆で言いまくれば誤解だってなるかも!と言い合って。

 だけど、私は頷かなかった。

『いいの、大丈夫だよ、智美』

 16歳の私はそういって彼女を慰めた。丁度いいから、って言って。

 え?と不思議そうに聞いた智美に、むりやり微笑んでみせた。ひきつる頬をなんとか制御しながら、私は、バレちゃったんだから、公開恋愛するよ!と宣言したのだ。

 照れるから囃されるのだ。

 皆、弄るのだ。

 今更否定した処で、平野との間に出来てしまった溝はどうしようもない。居心地の悪さは消えないに違いない。

 ということは、堂々としていればいいのだ。

 そうよ、平野が好きだけど、何か悪い!?そう言って、堂々と立っていればいいのだ!



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