バウンス・ベイビー!


 ちょっと話がありますー、そう高峰リーダーが言って、全員が作業する手を止めた。

 ぐるりと首をまわして音を立てながら、実にかったるそうにリーダーは話し始める。

「えーと、浜口さんが明日から復帰されます。でもまた腰痛めても困るんで、時短で」

 おおー!とパートさん達と私が拍手をする。まだ一度も浜口さんに会ったことのない平野はキョトンとしていたし、田内さんは外見上の変化はなかった。だけどきっと心の中では、良かったと思っているはずだ。だってこの繁忙期に、人手が増えるのだもの!

「それから、これは残念なお知らせー。えーとな・・・明日出るはずの今月の給料、支給がちょっと遅れるそうです」

「え」

「あら」

「ええ~!」

 これにはちゃんと方々からブーイングが起こった。まだ給料の発生しない平野以外の全員から。

「ちょっとリーダー、何でよどうして?困るのよそれ~!」

「遅れるって何日くらいですか?会社倒産の危機とかなの?」

 パートの前園さんと北浦さんが矢継ぎ早に言う。それにまあまあと手をあげてから、高峰リーダーが言った。

「付き合う銀行を、社長が独断で変えたらしいんですよ。社長がワンマンなの知ってるでしょ。それで手続きの問題から、今月の給料には間に合わないそうで。明後日には届きますよ、ただ・・・」

「ただ?」

 田内さんが、復唱した。


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