バウンス・ベイビー!
そうだ。今度、リーダーみたいなキャラを作って出してみようか。実はイケメンだけど性格や口が残念な人。それにあの格好とメガネが邪魔で、実は端整な顔だなんて気がつかれない可哀想な人――――――――そんな人が例えば、性格まで変わるような出会いをするとすれば――――――
作品の世界へと飛んでしまっていた。だから、平野が話しかけているのにはちっとも気がついていなかった。だってやつ、ぼそぼそ喋るんだもん!隣にいるからといって、そんな小声でなくてもいいでしょ、って声の小ささで。
「藤、平野君がさっきから呼びかけてるぞ!」
大音声でリーダーの声が聞こえて、私はひゃあ!と驚く。
隣をぱっと見ると、平野が無表情で私を見ていた。
「はっ?え?ええと・・・はい、何?」
「次、何やればいいかと思って」
「え、終わったの?」
もう?私は驚いて平野の手許のバットを見る。確かに終わっていた。そこは串刺しにされたハートが数十本整然と並んでいる。
おお~、やるじゃん。串をひっくり返して後ろを見てもちゃんと血もとってあったし、まな板や包丁も洗い終わっていた。
私はちょっと感心して、じゃあね、次の指示を出す。まだ捨てられていない心臓から切り離した部分を入れたボールを指差した。
「これはつなぎって言うんだけど、心臓の上、切り離した脂身のところね。これも商品になるの。店によってはバイトさんのまかないご飯になるから、これもやってくれる?せせりと同じ要領でさせばいいから」