バウンス・ベイビー!
明細ー!すっかり忘れていた。あの時は急に現れた平野から逃げることに精一杯で、お金だけ貰ったからもういいかと思ったのだった。そういえばリーダーの机の上には明細書がおいてあったよな~・・・。
仕方ないからがっくりと肩を落として謝ることにした。
「すみません。ちょっと急いでまして。あのー、もう明日でもいいですか?今から取りにいくのは嫌です」
『お前が忘れたんだろうが!それよりまだ外か?』
「あ、はい。部屋に戻るところです」
『ならまあ、丁度良かったな、藤。今平野がそっちに向かってるから受け取ってくれ』
――――――はっ?
「はいっ?え、えーと、何でですか、あのー・・・平野、さん、が、何ですかっ!?」
何か恐ろしい単語が聞こえたぞ、そう思って私はその場でぴたっと立ち止まる。電話口の向こうでリーダーはかったるそうに話しをつづけている。
『平野な、今日本社に書類出す必要があったんだよ。それで今往復してんの。お前の部屋が丁度近いからさ、本社の帰りに明細届けてくれって頼んだんだよ。優しいだろー、だからこっちくる必要ないぞ』
自慢げな高峰リーダーの声は、ほとんど聞こえていなかった。
・・・平野が、来る!?わざわざ私に会いに!?そりゃ確かに本社と私の部屋は同じ街だけど、でもでもでもちょっと待ってーっ!!
「えええーっ!そんな!ダメですよ、ちょっとリーダー!!おおおお、お、置いておいてくれたらいいじゃないですかっ!ただの明細でしょう!」