バウンス・ベイビー!
ガックリ、アゲイン。
すんごく嫌だったけれど、わざわざ明細を届けてくれた同僚の体が冷えてトイレに行きたがっているのを、無碍に断ることなんて出来ない・・・。私は何も言わずにこっくりと頷いて、仕方なくドアの鍵をあける。もう太陽は沈んでしまっているから、さっきから確かに吹く風も冷たくなっていたのだ。
「ごめん。駅までもつ自信がなくて」
そう言うと平野はパッと靴を脱ぐ。私が指差した、玄関入ってすぐのトイレへと突進した。
ふう、とため息をついて、仕方ないから荷物を片付けることにした。狭い1DKのこの部屋は、シャワーブースと別にトイレがついている。洗面所なんて素敵なものはないから、出来るだけトイレ近くには近づかないようにして、電気をつけコートを脱いでから通帳やら印鑑やらを片付けた。それからカーテンをしめて、ストーブのスイッチをいれる。
トイレのドアが開いて晴れ晴れとした顔で平野が登場した。
「助かった、ありがとう。ってか、もしかしてお風呂上りが何かか?頭濡れてんぞ」
私は無愛想に頷く。
「・・・この部屋はシャワーしかないから、銭湯行ってたの。リーダーからの電話で急いで出てきたから、髪乾かしてる暇がなかった」
そのことに今気がついて、ぶわっと恥かしくなる。しかも私ったら今スッピンなわけよね!今更ながらにヤツから顔をそらす。頬が湯だって眉毛もない顔をじっと見られたらかなり嫌だ。電気、つけなきゃよかったぜ!
それから、彼にむかって片手を出した。
「明細、くれる?」
「うん」
平野はごそごそとリュックをさぐり、白い封筒にリーダーの割り印まで押してあるのを手渡してきた。