バウンス・ベイビー!
「え、ここまでする?」
私が厳重に守られたその封筒を呆れてみると、平野が軽く苦笑する。
「そう。俺、信用はないらしい。個人情報だから、絶対あけんじゃねーぞって何回も言われた。ドアのポストがなかったら手渡すまで帰ってくるなって言われたし」
「・・・それはどうも、すみませんでした」
私は馬鹿丁寧に頭を下げて、さあ、もう帰れ!と全身から感じの悪い空気を発散した。
平野はちょっと苦笑して、リュックを担ぐ。それから玄関へと歩きだして――――――――ヒョイと振り向いた。
「藤、一つ聞いてもいいか?」
「は?」
何だって、と私は顔をあげる。質問なんて出来たら受け付けたくないぞ。そう顔にはがっつり表したのだけれども、平野は気にしていないように話しだす。
「あの頃の藤と・・・今の、不機嫌でキレやすい藤、どっちが本当?」
へ?
私は文字通り、目が点になった(と思う)。だって視界が一気に狭くなったもの。そのあとしばらくは質問の意味がよく判らなくて、何て答えたらいいのかも判らなかった。
「えーと・・・?」
「高校のときの藤が怒ってるの、見たことなかったと思って。明るくて楽天的なんだって思ってた。でも今はほぼ毎日カリカリしてるだろ。ちょっと意外だったからさ。そんなに変化がある・・・大学時代だったとか?藤、大学行ってたよな?」
ようやく頭がクリアになった。