バウンス・ベイビー!
私はこみ上げてきた怒りを何とか腹の中で押さえつけながら、拳を体の後ろ側で握り締める。それから、一つ呼吸をして淡々と答えた。
「―――――大学には行った。4年で卒業して、あそこに入社したの。高校の頃はそりゃ、平野に気に入られたいと思っていたんだから不機嫌な顔は見せなかっただけよ。いつでも一生懸命だったんでしょ」
あの頃の私は、あんたが大好きだったのだから。好かれようとしていたのだから。
眉間に皺がよっているはずのしかめっ面でそう言った私を、平野は頷きながら見ていた。
「それに6年も経てば・・・誰だってちょっとくらいは変わるわよ。そっちだって変化が何もないわけじゃないでしょ?」
私の問いかけはスルーして、平野が口を開いた。
「ちょっとくらい変わって・・・妄想癖が爆発したのか?」
「は?」
言われたことが判らなかった。私は口をぽかんとあけたままで、目の前の男をつい凝視する。
妄想癖、だと?
どうして今そんな単語が出てくるわけ?
かなりぽかんとした顔をしていたらしい。平野は一瞬口元を緩めて、ふ、と微笑した。それから――――――――
つと寄ってきたのだ。といっても狭い部屋の中、ただ突っ立ってる私に近づくのにそんな時間も距離もなかったけれども、気がついたら目の前に平野がいてビックリした。
「え」