バウンス・ベイビー!


「んなっ・・・なっ・・・ななな!」

 ワナワナと震えながら、ショック状態で私は叫ぶ。

「何であんたが知ってるの!?」

 さっきからあんたが口にしているのは、紛れもなく私の小説の内容だーっ!!全身から冷や汗か脂汗か区別がつかないものが、大量に噴出した。

 まだ壁に手をついたままで体を捻って私を見下ろし、平野はニヤリと笑う。

「何でって、読んだから」

「はっ!?」

「『それならあの雨上がりの公園で』だっけ、あれ?ちょっと題名が長くないか?」

「はあっ!?」

「藤が書いてるって聞いたし、夜に暇だったし、読んでみたんだ。そんで思ったんだよ。もしかしてこれって藤の要求なのかな、って。人には言えないけどやって欲しいことを文章にして―――――――――」

「ねえよっ!!」

 自分でもすごい声が出たと思った。平野もちょっと驚いたようで、目を開いて私を見た。

「妄想癖ってそういうことか!そんなの元々で、大学とか別に関係ないわよ!ってかそんなことどうでもいいの!そこじゃない!問題は――――――問題は、どうして平野がそれを知ってるのかってことでしょ!」

 本気で全身が震えていた。ワナワナと、ぶるぶると。私はようやく力が戻ってきた四肢に力をいれて立ち上がる。これ以上は身長以外の理由で見下ろされるのが嫌だったのだ。


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