バウンス・ベイビー!
お目目がキラキラ~。私はガックリきた。・・・ダメだ、反省するってモードじゃない。
「話が弾んだじゃないですよ~。何でいっちゃうんですか!秘密でしょ、私達だけの」
「あら、秘密だったかしら」
浜口さんはキョトンとしている。全く罪のない顔で。私はそれだけで、串を爪の間に突っ込みそうなくらいだった。
彼女はやっと私が怒髪天きていることに気がついたらしい。一瞬目を見開いて、そのあと申し訳なさそうに眉毛をよせ、しどろもどろで言い出した。
「知られたくなかったの?ごめんね千明ちゃん~。だって本読むの好きだっていうから・・・それで、ほら、共通の話題ってあなたのことくらいでしょ?だから千明ちゃんの話になって・・・あ、でもそれは普通に、いい子よね~って話してただけなのよ、本当。で、千明ちゃんと言えばそうだ、って気がついて・・・あの子もすごく興味を持って聞いていたから、つい・・・」
浜口さんは両手をこねくり回していて、まるで全身から汗を噴出しているアニメみたいだった。
私はほお、とため息を零して頷く。もう仕方ないことだわ。だって言っちゃったあとなんだもん。
「もういいですよ。仕方ないです」
「あの子、何か言ってきたの?読んだのかしらね、千明ちゃんの作品」
浜口さんが体をちょっとこちらへよせて小声で話す。今日はBGMになる他のパートさん達のいつもの明るい声がないので、ちょっとした声でも作業場全体に響き渡ってしまうようだ。