バウンス・ベイビー!


 唇に吸い付かれて、思わず口を開ける。さっきまでのひんやりとした感触はすでになく、今や温かくて湿った感じだけ。知らない間に後頭部に手をまわされて、噛み付かれるかと思うようなキスを受けていた。

「うっ・・・」

 息を吸う間にまた平野が呟く。

「目、閉じないと。見られてると緊張するだろ。舌、ほら・・・」

 言われた通りにした。だってもう考えることが出来なくて。一体今何をしていて、自分がどうなっているのかが判らなかった。混乱していて、それでも安心する温かさや柔らかさがそこにあり、奇妙にエロくて頭の芯がジンジンするような―――――――・・・。

 舌を絡ませて唾液を混ぜて、音が響く。私はただ上に顔をむけて、反応するのに必死になる。目をぎゅっと閉じていた。風に吹かれているのに体は熱くなるばかりで、ここが夜の野外の公園であるってことすらも、頭からは消えていた。

 瞼の裏が、真っ白だ――――――――


 絡まっていた舌をゆっくりと離して唇をなめ、平野が顔を離す。

 私は荒い息をつきながら、震える瞼を無理やり開けた。視界は定かではなく、今にも膝から崩れ落ちそうだった。

「・・・おー・・・エロい顔」

 平野の掠れた声が聞こえた。だけど言い返すことも出来ない。ただ呼吸が上がってしまって、死にそうだった。

 洗濯機の中に放り込まれたこんな感じなのかも。そんなことを呆然と考える。ぐるんぐるんと回る渦に放り込まれて息も出来ない。つま先から熱が上がってきて、自分がおかしくなったのかと思った。

 平野しか、見えなくて。

 何でこんなことを、などと考える余裕なんてなくて。


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