バウンス・ベイビー!
・完璧な振られ方・
一体どういう顔をすればいいのか。
当然ながらその疑問に頭を抱える羽目になって、私はまた寝不足のままで出勤した。眠れないままだったので、破れかぶれな気持ちで1時間も早くに。
平野も出勤の日なのを事務所の壁に貼ったシフト表で確認してガックリする。今日はうちのチームが担当している5店舗の内2店舗が休みの日なので、いつもに比べると仕込みの量は少ない。だから高峰リーダーと前園さん、浜口さんの3人が休みを取っていた。
普段なら気が軽くなる、上司がいなくて仕込み量の少ない出勤日。だけど今日は、是非高峰リーダーには居て欲しかった・・・。あの罵声にびびっていれば、無駄口は減るのだ。あの切れ長の目がメガネの奥から睨んでいると思うから、緊張感をもって仕事が出来るのだ。それは平野だって同じはず。なのにリーダーがいない!昨日の今日で!ってことは、平野からの盾となる(まあ時には槍にもなるのだが)人材がいないってことではないか!
「あああ~・・・」
まだエプロンを着ただけの今で、すでに部屋に帰りたかった。恋しい・・・私の小さな部屋。まだ皆の出勤までには時間があるから、今からさっさと帰ったら気づかれないよ、私!帰る?もう帰っちゃうー!??腹痛と頭痛を併発したってことにして。ああそれに、吐き気も!食品会社で吐き気はご法度だ。きっと休めるに違いない!
考えてから、自分の頭を拳で叩いた。・・・何を言っているんだ、私。ちょっとしっかりしろ。
「だけどホント、どうしたらいいんだろ・・・」
つい呟きになって口から出てしまった。