バウンス・ベイビー!
やっぱり見てすぐ判りますよねえ!?そう思って。それもあいつが、あの男が原因だって皆に判ってるんだ~やっぱり~!!この無口で周囲に興味がなさそうな田内さんでさえ、そう考えるんだもの~!
私は泣きそうな顔をしたらしい。田内さんは慌てた様子で後ろへと下がる。
「え、ごめっ・・・あの、余計なことだった」
「いえいえいえ!ありがとうございますーっ!!優しい、優しいよう田内さん!!」
私はつい大きな声を出してしまっていた。叫ばれた田内さんは更に後ろへと一歩さがる。
「作業台、換わって欲しいです!今日だけでもお願いします!」
そりゃ隣の作業台で作業をするのは嫌だ。特に見張り番がいない今日は全力で拒否したい!
私の迫力におされて完全に引きの状態になった田内さんが、また一歩下がる。
「うん、じゃあそれで。・・・そんなに嫌なんだ、あの人が」
私はちょっと困って言葉を探す。壁の時計を見れば、まだまだ始業には時間がある。ここで田内さんには話してしまおうかな、そう思ったのだった。この穏やかな人に、今まで誰にも話したことがないことを聞いて欲しいかもって思った。
でも迷惑かもよ?頭の中でそんな声が聞こえる。田内さんは係わりたくないかもよ?
まだ体がびびって後ろに引いたままの田内さんに、私はぽつんと言った。
「嫌というか、困るんです。どうしたらいいかで。だって・・・。田内さん、聞いてくれます?あの人・・・平野と、あったこと」