バウンス・ベイビー!
ビックリした。
一瞬、世界中の全ての音が消えたかと思ったほどだった。
ついでに動くものも全部停まって、雪でさえも、空中で凍り付いてしまったように見えた。
声には出さなかったけれど、え?と聞き返していた。心の中で、え?って。ねえ平野、今言ったことって・・・。
相変わらずの不機嫌そうな表情で、平野は続けて言う。
『俺達は違う大学にいくし、もう全部忘れて春を迎えるのがいいと思う。これまでのことは、全部』
目を見開いて突っ立つ私に向かって、平野は掠れた声でそう言って、くるりと背中を向ける。それから歩き出した。一度も振り返らずに校門を出て、雪の中、通学路を歩いていく。その黒いコートと青いマフラーの柄がわからなくなるまで、私はその場に立ったままで見送っていた。
貰った言葉はまっすぐに心臓につきささり、涙も出なかった。興味がない、興味がない、興味がない・・・キョウミ・ガ・ナイ。
・・・でも・・・平野、一度も迷惑そうな顔、してなかったじゃない。
心の中で言葉が溢れる。
でもだって、だって、いつでもちゃんと相手をしてくれたじゃない。笑ってくれたし、話も聞いてくれて、いつだって普通に――――――――・・・
風がすごい勢いで吹きつけてきて、雪とともに私のスカートを揺らしていく。
冷え切った体は更に凍えて、私の体の真ん中からしんしんと冷えて凍りだす。
私がそこを離れたのは、きっと30分ほど経った後だったはずだ。もうすっかり濡れてしまっているのに、そこから傘をさして学校を出た。