ツンデレ彼女がデレる瞬間。
─澪side─
「澪ちゃん、東雲くんいた?」
最近仲良くなった同じクラスの女の子に私はそう聞かれた。
「ううん……体育だったらしく、まだ戻ってきてなくて」
私は、苦笑いをしてそう答える。
その女の子は、友達の少ない私が唯一仲良くしている子だ。
バレンタインで、羽琉を見て質問攻めにあったから、彼氏だと話すとたくさん相談に乗ってくれた。
それでも……それでも、素直になることができない。
唯一、冷たい態度を出すのも、無理して笑わないでいれるのも……
全部全部、羽琉だけで。
大切なものは、失ってから気づくんだと改めて分かった恋だった。
でも、まだ過去にはしたくない。
だって、私は1度も羽琉に「好き」と伝えられていないから。