本を片手にあなたと恋を
前回の委員会で、代表と書記をなかなか決められない一年にしびれを切らした委員長が目の合った美桜を書記に任命したのだ。
美桜は、書記をやること自体に抵抗はそこまでなかった。ただ、それなら代表も一緒に決めてくれればよかったのになぁと思うのだった。
代表は自分で立候補するべきだとか、全員揃ってないとかいう理由で、代表を決めるのは今回に持ち越されたのだ。
号令をかけた委員長が話はじめる。
「まず、1年代表と金曜日の放課後当番をしてくれる人を決めなきゃいけないんだけど。」
委員長は、みんなにそこまで言うと近くの美桜に頼んだ。
「ごめん、美桜。先生に全員揃って始めてるって伝えてきてくれる?」
委員長の言葉に頷き、席を立つ。
前回の委員会で委員長とはすぐに仲良くなった。委員長がフレンドリーでぐいぐい来たからだが。
急ぎ足で廊下を歩きながら、前回の委員会のやり取りを思い出して顔がにやけるのを押さえた。
前回は、先生を呼ぶのを忘れたらしく、先生が来たときにはもう話がほとんど終わっていて、「俺を呼べよ」と怒られていた。
聞けば、委員会の顧問が必ず来なければならないわけでは無いらしいが、図書委員では毎回来ているらしい。
なんだかんだ言って、委員長と先生は仲がいいのだ。
先生に声をかけると、案の定嬉しそうに「今回は覚えてたか。」とか何とか言って腰をあげかけた。
ただ、仕事が途中だったのか結局立ったままパソコンをいじっていて、先に行くように言われた。