本を片手にあなたと恋を
拓海が席に座るのとほぼ同時に戻ってきた美桜は、隣の先輩に息を切らして尋ねる。
「もう誰か決まりましたか?」
「落ち着いて。 そんなに急がなくても大丈夫だったのに。」
と笑いながらいうとホワイトボードを指差した。
「どっちも、あの人がやってくれるみたい。」
そう言われて、ホワイトボードの名前を写す。
一年代表 一組 鈴木拓海
美桜は、最近やたらこの名前に縁があるなと思いつつ、遅れを取り戻すべくノートに向かった。