本を片手にあなたと恋を
「そんなことない。言ったでしょ、きっぱり振られたって。」
和樹は立ち止まって言った。
「でも、距離とろうとしてるよね?」
「それは、」
言葉につまった真央にすかさず拓海が続けた。
「拓海のこと、わざわざ鈴木とか呼ぶし。昼休み。」
「それは、美桜の恋応援したいから。変に仲良いことアピールする必要ないでしょ?」
美桜は、恋したことがないのだ、今まで。
まだ、気づいていなくても美桜にとってきっと拓海は“特別”になる。
というか、むしろくっつけたい。
絶対、お似合いって分かってるから。
美桜にも、、、拓海にも幸せな恋をしてほしい。そう思うのは変だろうか。
「それだけ?」
相変わらず、目を真っ直ぐ見つめて聞いて来る和樹に、諦めて認める。
「振られたから、気まずいのもあるかもね。でもしょうがないじゃん 。」
和樹はいまだに納得のいかない顔をしていた。
「次の恋でもできたら直るかもね。」
真央が最後にそういうなり、歩きだすと、
和樹もただ「ふーん。」呟き歩きだした。