本を片手にあなたと恋を
「週1か2ぐらいだけど。行くの。」
「えー、本当? じゃあ、タイミングが私と一緒なのかな。」
うーん、謎だ。
そして、もうひとつの謎がある。
「鈴木くんの昼休みの当番っていつ?」
美桜は今まで、拓海が当番しているところを見たことがないのだ。
「金曜日、つまり今日。」
「あ、なるほど。だから、今まで見なかったんだ。金曜日は放課後に本借りるから。」
一人、納得していてふと思ったことをそのまま口に出していた。
「見てみたい。」
「何を?」
拓海が怪訝な顔で尋ねる。
「鈴木くんが当番しているとこ!」
ますます、頭にクエスチョンマークを浮かべる拓海。
「今、まさにしてるけど?」
「違うー!お客さんとして。」
「よく、わかんないんだけど。何で?」
「なんか、見てみたいって思ったの。何でもないよ、もう。」
自分で言っといて恥ずかしくなる。
「ふーん、でも、なんか嫌だな。見られるの。」
「え、それこそ何でー!」
とまた、叫んだ美桜に拓海は「さぁ?」と笑って答えなかった。
二人きりの放課後の図書室でゆっくりと、穏やかな時間が流れていった。