本を片手にあなたと恋を


と、そこで少し引っ掛かってたことを訊く。


「この本て鈴木くんの?」


「いや、姉貴の本」


「お姉ちゃんがいるの?」


初耳だ。


「 三歳上が一人。」


「へー、会ってみたーい。絶対、美人さんだよね?」


「いや、どーだろ。というか、何でそう思うわけ?」


「だって、鈴木くんのお姉さんでしょ?絶対美人だよ。」


確信をもって言う美桜に、拓海は軽くため息をつく。


「だから、その根拠のない自信はどっからくるわけ。」


「え、鈴木くん格好いいし。お姉さんも可愛いのかなと。」


いや、鈴木くんと似てたら可愛いよりは綺麗系?


などと、呟く美桜。


拓海は、想定外の答えに少し驚き焦る。


「…俺、お礼を言うべき?」


美桜は首をかしげる。

「お礼って何に?」

「ごめん、何でもない。忘れて。」


釈然としない思いを抱きつつも頷く美桜。

< 40 / 64 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop