本を片手にあなたと恋を
と、そこで少し引っ掛かってたことを訊く。
「この本て鈴木くんの?」
「いや、姉貴の本」
「お姉ちゃんがいるの?」
初耳だ。
「 三歳上が一人。」
「へー、会ってみたーい。絶対、美人さんだよね?」
「いや、どーだろ。というか、何でそう思うわけ?」
「だって、鈴木くんのお姉さんでしょ?絶対美人だよ。」
確信をもって言う美桜に、拓海は軽くため息をつく。
「だから、その根拠のない自信はどっからくるわけ。」
「え、鈴木くん格好いいし。お姉さんも可愛いのかなと。」
いや、鈴木くんと似てたら可愛いよりは綺麗系?
などと、呟く美桜。
拓海は、想定外の答えに少し驚き焦る。
「…俺、お礼を言うべき?」
美桜は首をかしげる。
「お礼って何に?」
「ごめん、何でもない。忘れて。」
釈然としない思いを抱きつつも頷く美桜。