本を片手にあなたと恋を
「あのさ、」
神妙な顔の拓海に何事かと身構える。
土曜日の部活のあと、わざわざ呼び出されて今は拓海の部屋でくつろいでいる。
ベットに転がり漫画に手を伸ばした時だった。
次の一言で、本気で驚かされることになるとは。
「俺、佐々木に告白したかも。」
「はぁ!?」
昌樹は思わず声をあげると拓海に向き直る。
拓海は、机の椅子を持ってきてベットと向き合うように座っている。
「美桜ちゃんにコクったの!?」
「お前 、いつの間に下の名前で。どうして仲良くなってんだよ、」
ふて腐れたような拓海に再び驚くがそれどころじゃないと思い直す。
「いや、佐々木さんだと余りによそよそしいかなと。って、お前それより今、告白ってそれこそいつのまに?」
ちょっと困った顔で拓海は言葉を探しながら答える。
「告白したってわけじゃないんだよ。今、思えばコクったも同じようなってだけみたいな?」
「ますますよくわからないし、そもそも好きって初耳なのですが?」
「それは、俺もはっきりと自覚はなかったというか」
とにかく―と拓海は、昨日の出来事を話した。