本を片手にあなたと恋を


「いいじゃん、青春してますねー。微笑ましいよ。」



「何で、真央、他人事っぽいの?真央も青春しなきゃ。」



「私も、してるよ。友達の恋の相談聞いてるし。」



「もう、違うよー。真央の恋!」



「いまのところ、予定はないので。」



「ダブルデートとか、憧れるなぁ。」



わざとらしく言うと、電話越しに苦笑する声が聞こえる。



「それは、考えとく。」



「よろしく。」



とにっこり笑う。



「とにかく、おめでとう。そろそろ、切るね。また、学校でたっぷり聞かせてもらうから。」



えー、と言う間もなく電話が切れた。


もー、真央ったらと思いながらも顔がにやけてしまう。


ベットの上で仰向けに寝ながら、コロコロ転がりたい衝動にかられる。


まだ夢見心地だけど、だんだんと胸の中に実感として感じてくる。



“私は拓海くんの彼女”なのだと。



それだけで気恥ずかしくて、それだけで幸せ。



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