本を片手にあなたと恋を
美桜の高校のなかで図書委員はもっともハードな委員会の1つだろう。
といっても、文化祭の実行委員のように、一定の期間の間昼休みも放課後も毎日委員会ということはないが。
その代わり、毎週の当番と2ヶ月に1回の定例会がある。
今日は、その定例会の日だ。
もうすでに、ほとんどのクラスが集まってきている。
美桜が向かい側で寝ている、同じクラスの宮藤 和樹(くどう かずき)をぼーっと眺めていると隣の真央が話しかけてきた。
林 真央(はやし まお)、4組の図書委員だ。
美桜は3組なのでお隣のクラスだ。当番が同じ日になったので仲良くなった。
「ねぇ 、何で始まらないのかな。」
その真央の疑問に美桜は答えた。
「うーん、まだ来てないクラスがあるみたい。1-1と2ー5かな。」
自分で言って、初めて美桜は1組、つまり拓海のクラスが来ていないのだと認識した。