「僕はずっと前から君を知ってるよ」
でも、怖がってちゃ、駄目なんだ。
わたしから向き合わなきゃーーー。
なんて、思えない。
お姉さんは最初からわたしと話す気なんてさらさら無いのだ。
もう諦めるしかない。
あーーーー。
わたしは、聞かなきゃいけない事があるのを忘れていた。
「あの、お姉さんーーー。その、聞きたいことがあるんです。」
お姉さんは碧眼をわたしに向ける。
それはそれは冷たくて鋭い碧眼を。
わたしはこの眼が駄目なのだ。
なにも言えなくなる。
黙ってしまうのだ。
「あの…っ、お父さんの…ヴァイオリンて…どこに…あるのでしょうか…?」
よし、言った!
わたしは言った…!言えた!
恐怖心が芽生えながらもそれには気づかないふりをして、金髪の女性を見ようとする。
見事にその金髪碧眼の女性はわたしを見下すように見つめていた。
…っうっ…。
「それを知って、貴女はどうするつもりなのかしら?」
「それ、は…っ。」
どうして、ここで黙ってしまうのーーー。
素直に言えば良いじゃない。
あの青年に頼まれたんだって。
どうしてそれが言えないのーーー?
どこかで怖気づいてる。
あの青年のことを知られるのが嫌なのかもしれない。