「僕はずっと前から君を知ってるよ」
「私は恋をしたから」
「はぁーあ……」
「なによ、どうしたの?りり」
ももは朝から深いため息をするわたしに声をかけてきた。
昨日あれからルーフェスはわたしが好きな人を教えるまで離してくれなかった。
あの人にしてはめずらしくーーー。
わたしに興味を持った様子だった。
わたし、嘘ついたのによかったのかな…。
たぶん、信じたよね…。
「あー、ごめん、もも!
ほんとごめん!」
「えっ!?なに!?
あー、もういいし…なんかあったら言えよー」
なにも説明をしないわたしに呆れてくるもも。
昨日、誰かと責められたのでやむを得ず、もものお兄さんの名前を適当に出してしまったのだ。
ごめん、もものお兄さん…。
あと、ももーーー。
「もー、ほんとあんたどうしたの?
でも、嬉しそうだしよかったけどさ」
嬉しいーーーー、たしかにわたしはいま嬉しい。
そして、父がなくなって以来の、幸せ。