「僕はずっと前から君を知ってるよ」
「お姉さんは…ほんとはすごくいい人なんですけど…」
「うん、そっか。
いい人ってことはしってるんだね」
わたしの左手に彼の右手がぶつかる。
……うっつ…ぅ
ひとりでトキめくわたし。
彼はなんともない。
1人だけ、照れてるのだ。
つまり、彼はわたしのことをなんとも意識をしてないってことなのだろう。
ただの、餓鬼としか、見られてないのだ。
わたしのことなんてなんともーーー。
「…っう…ひっく…」
「えっ、どうしたの?」
動揺する彼をもっと困らしてしまうわたしに嫌気がさす。
彼もそのうち呆れて、わたしのことを嫌いになるだろう。
お姉さんだってそうだった。
小さい頃はわたしのことも大切にしてくれているように見えた。
けど
すぐに手のひらを返すのだ。
人というのは。
お姉さんはわたしを嫌いになった。
それはわたしが悪いと、わかっていても、つい人のせいにしてしまう。
『 お父さんのバカ…っ!
なんでっ…しんじゃったのぉ…っ
ひっく…うっ…うわぁぁ…ん…っ』
泣いても泣いても
叫んでもーーーー
父は帰って来ない。