「僕はずっと前から君を知ってるよ」


「あれ?

今日はヴァイオリン、持ってきてくれなかったの?

残念だなぁ〜」



何事もなかったかように笑う青年。

その青年をわたしは知っている。



「どうしたの?泣いてるの?」


「るー、ルーフェス…っ」


泣いてない。

泣いて同情なんてして欲しくない。


わたしはーー。

わたしはーーー。




『 リリアちゃんてお父さんもお母さんもいないんだってー』


『 えー!?』


『 可哀想』



わたしはーー!

違う!!


わたしはーーー!



「可哀想なんかじゃない!!!」
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