「僕はずっと前から君を知ってるよ」


「貴方が好きですーーーー」


彼の黒髪が風でなびく。

少しの間を埋めるように水が流れる音がする。


「うん、ごめんね」



「…いいえ、答えてくれて、嬉しいです、だからもういいです」


涙なんてでなかった。

こたえなんてわかってる。

だから覚悟くらいしてた。



それでもわたしは言う。


貴方が好きです。


大好きです、と。


届けば、どれだけ良かっただろう。



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