「僕はずっと前から君を知ってるよ」

「りりちゃん。

あはは、今日はなにする?」


そう話しかける、わたしのお父さん。

今でも蘇る、あの時。

そう、


『 あのとき』


お父さんはあのとき、庭でわたしを膝にのせ、本を読んだり、紅茶を飲んでいたりした。

その日の夕方。

父は亡くなった。


わたしの目の前で発作を起こし、目の前で吐血したのをわたしは今でもハッキリと覚えていた。

その後はすぐに病院に搬送されICUに入ってしまい、わたしは会うことができなかった。

父は最後までわたしを心配していたらしい。

そして亡くなった。

それからわたしの家は静まり返っている。

お姉さんもわたしをみるのを嫌がった。

話してもくれなくなった。

父が亡くなってからこの家は壊れたのだ。
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