「僕はずっと前から君を知ってるよ」
重い足乗りで家に着くと、お姉さんが庭にいた。
お姉さんは仕事帰りのようだ。
いつも遅いのにどうしたんだろう。
こんな早く帰ってくるのは滅多にないことだった。
「あの、おかえりなさい、お姉さん」
お姉さんはゆっくりとこちらに顔を向ける。
わたしはそれに合わせてゆっくりと頭を下げてみる。
「ああ、あなたも、おかえりなさい」
冷たい。
おかえりなさいってこんな冷たかったっけ?
わからないな。
なんでわたしだけこんな思いをするのーーー。
ねぇ、お父さん。
今も生きてたら、わたしを愛してくれてましたか。