セクシーな女神・ゴーインな戦士
駅に続く道を祐介と歩きながら、事情を説明した。


「じゃあ、いきなり喧嘩腰だったんですね?」


私は、うなずいた。


祐介は、敬語を崩さない。

タメ口でいいよって言ったんだけど。


「あんな暑苦しいヤツが主将なんて、副将も大変だね」

「あの副将は、石丸さんて言って、大宮の幼なじみなんですよ。ホントかウソか知らないけど『いいなずけ』って言われてます」

「よく知ってるね」

「僕も石丸さんも弓道部ですから」



けたたましく、私の携帯が鳴りだした。

電話に出ると、うちの学校の先生だった。



「由梨絵さん、帰っちゃったって本当なの!?」

「ほんと」

「ウソでしょう!?戻りなさいよ~~~!」

「イヤ」



隣では、祐介も電話に向かってしゃべってる。


「戻りません。礼を失したのは向こうです」


祐介の声は冷静だ。




「先生、もう勝負は始まってるんですよ」


なのに熱い。



お互いに電話を切った。


祐介が息を吐き出す。

ちょっとコイツを見直す気になった。



「ノドカとは、幼なじみなんだよね」

「そうです…微妙な関係ですけど」

「微妙ってなに?」

「ライバルでもあるんですよ。うちもノドカの家も和菓子屋なんです」

「へぇ」

「うちは創業150年。向こうは300年…格が違うんですけどね」



祐介の冷静な顔に、少し寂しさが見えた。



「もしかして、ノドカのこと好きなの?」

「そうですよ」


アッサリ答える。


「ノドカは知ってるの?」

「知ってます。去年、告白しましたから」

「えー。それで?」

「光野さん以外、オトコじゃないそうです」

「…ああ、そう」



祐介が顔を引き締めた。


「俺、絶対に勝ちます」
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