セクシーな女神・ゴーインな戦士
学校へ行くと今までどおり、

「由梨絵さーん!おはよ~ございま~す」

の挨拶がある。



ただし、今は昇降口付近だ。

教室まで移動するのを手伝ってくれる。


むしろ人数が増えているように感じた。


「もの好きだね」


あきれる私に、ノドカが教えてくれた。

「車で送ってくれてる人もお目当ての一人なのよ」

「父上のこと?」

「うふふ。素敵よね~」


……目がハートだけど、大丈夫かな。

祐介、ガンバレ。



大宮との話し合いは、平行線だ。

というより、話し合いにならない。


「ワタシ、行かないよ」

「知るか」

「行かないから」

「時間だ。帰る」


聴いてないし!


大宮は私の上にかがむと、

唇を押し当ててきた。


「家で……んんっ」


するなって、言いたいのに!


「ううっう!」


楽しむかのように、角度を変えてくる。



完ぺきにもて遊ばれてる!


ながいっっ!



首を絞めてやった。


「ゲホッ!本気で絞めるなよ……」

「もうアメリカ気分?」


不機嫌な私に構わず、額や頬にも軽くキスをすると、

さっさと帰って行く。


ちゃっかりしてる。

江ノ島のトンビみたいなヤツだ。




「ヒマだろ」って言葉は、

けっこう当たっているのが悔しい。



車椅子テニスの教室にも参加した。


動き回るのは、楽しくてしかたないし、毎週通ってる。

だけど、中学時代の「テニスが神!」みたいな気持ちは戻ってこない。

車椅子であることを忘れるっていう気持ちが強い。


「やっぱテニスさいこ~」

とか言いながら、いつの間にか思ってる。


「さーて、次は何をしようかな…」


その想像の先に、いつも大宮がいることが、なんかムカつく。
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