一番星のキミに恋するほどに切なくて。《改装版》
「…お湯を沸かす所までは何事も無かったはず…なんだが……」
蓮さんによると、お粥を作る為のお湯を沸かして人参を切っている時に事故が起きたらしい。
お粥のおの字も出来ていない時点で事故が起きたんだね……。
あたしは苦笑いを浮かべて台所の窓を開け、換気扇を回した。
「悪い…」
蓮さんは落ち込んだ表情であたしを見ている。
そんな蓮さんが可愛いと思ってしまった。
「蓮さん、今度はあたしと一緒にお粥を作ろう?覚えたら今度は蓮さんが一人で作って食べさせて?」
そう言って笑顔を向けると蓮さんは少し元気になって、嬉しそうに笑った。
「あぁ、まかせろ」
それから二人でお粥作りをする。
片づけは大変だったけど、蓮さんと過ごす一日一日は何て幸せなんだろう……。
「人参…切るぞ…」
まるで、人を殺しそうなくらいの殺気で人参を見つめる。
こ、怖っ!!相手はただの人参です!!
そして、蓮さんが包丁を振り上げた。
なんで振り上げたー!?
「そ、そんな高い所から振り下ろさなくていいの!!」
「そうなのか?」
なんだかどうして台所があんなになったか分かった気がした。