一番星のキミに恋するほどに切なくて。《改装版》


「………」


蓮さんは無言で困ったようにあたしを見る。


「こうやって……こう」


蓮さんに手本を見せてあげると蓮さんは笑みを浮かべた。


「…蓮さん?」


笑顔を浮かべる蓮さんを不思議に見ていると、蓮さんは、あたしを後ろから抱き締めた。


「わっ…蓮さん!?」


固まったまま蓮を見上げると、蓮さんは優しげな笑みをあたしに向けている。


「こういう時間…幸せだ」


蓮さんの言葉に目を見開く。


あたしと同じ事…思ってくれてたんだ…。


嬉しくなってあたしも笑顔を向けた。


「蓮さんと過ごす一日一日はあたしにとってどれも幸せだよ」


全てが大切な思い出。そして明日、明後日と日を重ねる度に増えていく。


命が終わる恐怖より、明日くる幸せを楽しみに思えるようになっている自分に気づいてはいた。


今の時間を、大切にしたい。だからやっぱり…あたしは、治療をして病院に縛り付けられて死ぬより、このまま…。





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