一番星のキミに恋するほどに切なくて。《改装版》
「って!!寝ないでくださいよー!!」
はは、マイペースだなぁ、蓮さん。
頭を抱えるタケさんに、あたしは苦笑いしながら声をかけた。
「タケさん、お久しぶりです」
「あ!夢月さん久しぶりっす!そうだ!!良かったらトランプしません??」
「トランプ?」
蓮さんは寝ちゃうしタケさん達はトランプ……。
相変わらず、自由だなぁ。
「ばば抜き総当たり戦っす。人数多いんで、5人ずつやってるんすよ」
タケさんは楽しそうに笑いながらあたしを座らせた。
「夢月さん、これを」
隣に座っていた人がトランプを渡してくれた。
「あっ…ありがとうございます」
それから狼牙の人達とばば抜き大会をやった。
最初は、暴走族に対して恐いイメージしかなかったけど、みんな優しくて誰よりも仲間を大切にする人達ばっかりだ。
「…おぁーーっ…負けた…」
「元気出して下さいよ、総長!!」
落ち込むタケさんの肩に皆が手を置く。
あ、今の総長はタケさんなんだ。
「総長は運がないだけですよ!」
「総長じゃんけんも弱いじゃないですか!気にする事ないですよ!」
あれ…全然慰めになってないような……。むしろ傷つけてるような…。
「…お前ら……」
タケさんがゆらゆらと立ち上がる。皆口々にやばいと呟いて後ずさった。
「夢月さん、逃げますよ!」
「えっ…」
トランプを渡してくれた人があたしの手を引いて走り出した。
「しばいたる!!」
そして、タケさんが暴走した。トランプ大会は強制終了されて、急きょ命がけの鬼ごっこになった。