一番星のキミに恋するほどに切なくて。《改装版》
「蓮さんに、あんな痛みを負わせたくない」
ママとパパが死んだ時の痛み。世界が終わったような感覚。あれは、絶望だった。
蓮さんが、あたしを大切に想ってくれているのを知ってるから、その痛みも大きくなるのを知ってる。
「ここを、出なきゃ……」
あたしはそう決めたのに、泣き続けるばっかりで、動き出せなかった。涙は枯れる事なく流れる。
今改めて、死にたくないと、そう思った。想いは通じ合っているのに、離れなきゃいけない事が、なお苦しい。
結ばれる事は絶対にないんだ。
「さよなら、さよなら、蓮さんっ…」
恋を知らなければ、もっと死を受け入れられた。あなたを、蓮さんを知らなければ……。
あたしは泣きながら、ようやく立ち上がった。
蓮さんが、いない今がいい。蓮さんと会ったら、あたしはまた迷って、甘えてしまうから。