一番星のキミに恋するほどに切なくて。《改装版》


「前にも言ったけど、あの子を変える事が出来るのは、あなたしかもういないのよ」


「俺は、その言葉の意味がまだわからない。あいつを守ってやりたいのに、俺は……」


俺は、何もあいつにしてやれてない。それが、こんなに苦しいなんて……。


それを聞いた博美さんは、笑顔を浮かべた。


「まさか蓮が…誰かをそんなに好きになる時が来るなんてね……。うふふっ…お姉ちゃん、嬉しいわ」


「………誰がお姉ちゃんだ。もう27だろうが。それに、姉弟じゃないだろ。いつまで続くんだ…その設定は」


俺が暴走族に入るきっかけは博美さんがいたからだ。俺を狼牙に誘ったのは博美さんだ。


尊敬はしてる。博美さんは暴走族界でも名の知れた総長だったからな。


出会った時から俺を弟のように面倒を見てくれていた。



「蓮、もしあなたがあの子の傍にいると決めたなら、早く行ってあげて。きっとあの子……あなたの前から消えるわよ」


「……消える…?」

「あの子から目を離しちゃだめ。あの子は脆すぎる…」


「どういう意味だ?」


博美さんは「早く行け」と言わんばかりにシッシと手を振る。


これは、話すつもりは無いって事だな。


俺は仕方なく、追い出されるように、医院を出た。







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