一番星のキミに恋するほどに切なくて。《改装版》
「…お前は俺が好きか?」
「…えっ………」
蓮さんは逃さないと言わんばかりにあたしの頬を両手で包み込む。
「…余計な事は考えるな。お前が思ってる事をそのまま言えばいい」
いつも考えるのは、自分ではなくて、周りがどう思うのかだった。
自分の気持ちには蓋をして知らないふり、見ないふりをして、そうやって生きてきた。
「…他人の事ばっかり考えて生きてきたんだ。わがまま言ったって誰もお前を責めない」
一筋の涙が頬を伝った。
そうだ……。あたしは誰かに気づいてほしかった。ずっと一人で抱え込んできた事を……。
誰に引き取ってもらうのかで、たらい回しにあった時…。誰にも愛されてない、望まれてないんだって思った。
そんなあたしに、豊さんや喜一お兄ちゃんは何度も歩みよってくれたし、大好きだ。それでもやっぱり一線を引いてしまっていた。
でも、あの時の事がずっとあたし自身を捕らえてる。
生まれた事を許してほしかった……。自分じゃ自分自身を許せなくて…遠ざけてきた。
もし…わがまま言っていいなら……。伝えるだけでいいから…。叶わなくていいから…。それ以上は望まないから…。
あたしは蓮さんが…。
「…好き………。蓮さんっ…が…ぐすっ…好きだよっ…ふぇっ…うぅっ…」
伝えてしまった。その瞬間から、涙は止まらず溢れる。その度に重荷が一つ一つ無くなっていく。