一番星のキミに恋するほどに切なくて。《改装版》
「…ここ…ですか?」
「はい。秋武様がお待ちです」
従業員さんは笑顔で教会の扉のドアに手を添えた。
「蓮…が…?」
従業員さんはもう十分だと言ってドレスを脱ごうとしたあたしを止めてここへと連れて来た。
「さぁ、お待ちです」
あたしの問いには答えず、促されるままに中へと足を踏み入れた。
ーピカッ!!
「……わっ!!」
教会の中へと入ると、ステンドガラスから降り注ぐ光りがあたしを照らす。
まるであたしが生きていた世界とは違う孤立した空間のようだ。
目が少し光りに慣れると、バージンロードの先に人影が見えた。光りが逆境でシルエットしか見えない。
「……夢月…」
呼ばれるままバージンロードを歩く。近づくにつれはっきりするシルエット。
その正体は……。
「…れ……ん……」
言葉が出ない。その人影が蓮だという事はわかった。でも…蓮はタキシードを着ていた。
黒くて蓮らしいタキシードだ。
歩いていた足が歩みを止めた。あたしの目は…蓮を捕らえて離れない。