一番星のキミに恋するほどに切なくて。《改装版》
死ぬのかな……。こんなに体がだるくなるものなの?こんなに、苦しいものなの…?
「大丈夫だ…。夢月は大丈夫…」
喜一お兄ちゃんは自分に言い聞かせるように何度も何度も言う。
「…喜一…お兄…ちゃん」
喋るのも辛い。頭は痛いし吐き気もする。
蓮はまだ仕事に行ってる時間だし、これは好都合だ。
もしもなんて、蓮に怒られそうだけど、そのもしもの時に蓮に残せるモノ。
「…喜一…お兄ちゃん…。お願い…ある…の…」
あたしは頭の上の棚に目を向けた。
「ああ!!なんだ、どうすればいい!?」
「手紙……書きたい…から、そこから…」
「今は、そんな事してる場合じゃっ!!」
「今っ……だからだよ!」
あたしの必死な様子に、喜一お兄ちゃんは頷いた。
「まさか、蓮に?」
博美さんに、あたしは頷く。
「諦めた…わけじゃないの。ただ、もしもの時に、蓮に何も残せないのが、嫌だから…」
そう言うと、博美さんはあたしの頭を撫でた。
「そうね、やれる事はやっておくのもいいかもしれないわ。絶対なんて、この世にはないものね」
「先生!!」
その言葉に、喜一お兄ちゃんは声を荒げた。
「ごめんなさい、ただ……。後悔はしてほしくないのよ」
悲しげに笑い、病室を出る博美さんの背中を見送る。