一番星のキミに恋するほどに切なくて。《改装版》
次の日、蓮はあたしのために撮影した星空をビデオカメラで見せてくれた。
「…蓮…手…震えてる。寒かっ……の…?」
「…まだ冬だからな」
今日、あたしは酸素マスクをつけることになった。なんだか、呼吸が、苦しいのだ。
「星…もう一度…たいな…」
「…見に行くぞ。体調が良くなったらすぐに」
あたしの背中をさすりながら、蓮は言った。
「うん…。ありがとう…」
あたしも…蓮と一緒星を見たい。ずっと…これからも…。それから二人で何度もビデオを繰り返し見た。
話したりビデオを見たりしているうちに、窓の外はすっかり真っ暗だった。
「…そろそろ風呂行ってくる」
「うん…行ってら…い」
蓮はコートを着てから、あたしの左手を握った。二人のシルバーリングがぶつかり合う音がする。
「…すぐ帰る」
蓮は安心させるようにあたしの手を握り、ゆっくりと離した。