一番星のキミに恋するほどに切なくて。《改装版》
「夢月!!諦めるな!!」
「……」
その声に、あたしの意識が浮上する。
諦め…たくない。蓮と、一緒に生きていきたい……。
「一緒に生きていくんだろ!!」
「……」
そうだ、あたし、一緒に生きていくんだ。こんな所で、死んじゃだめだ。蓮が、待ってる……。
「心拍戻って来たわね。夢月ちゃんの骨髄移植の事ですが」
博美さんは、豊さんと喜一お兄ちゃんに向き直り、話し出す。
「夢月ちゃんの骨髄移植、このまま行った方がいいと思うわ。前にも話した通り、その前処置として、腫瘍化した細胞を殺すために、致死量を超える大量の抗がん剤投与と放射線照射をして、移植をする」
「っ……夢月ちゃん…」
博美さんの声が聞こえる。
そう、あたしは豊さんの骨髄と適合した。血が繋がっていなかったからこそ、適合率は良かったらしい。
「もっと、心の準備をしてから、受けさせるべきだって事はわかってるわ。拒絶反応があれば、夢月ちゃんは…」
「そんなっ、それを今決めろっていうのかよ……」
喜一お兄ちゃん……。
「もう、抗がん剤治療に、夢月ちゃんの心と体はもたないわ。だから、かけるべきだわ」
博美さんの言葉に、あたしは決意した。そして、力を振り絞って、声を上げる。
「あた……し…受ける……」
その言葉に、皆があたしに駆け寄った。
「夢月!!お前っ……」
蓮が、あたしの手を握り、泣きそうな顔で見つめている。
「蓮………」
「夢月、死ぬなっ………」
「本当…に……大好き、だよ………」
涙が、流れた。もしかしたら、このまま死んでしまうのかもしれない。
そしたら、この人を一人にしてしまうんだ。
そう思ったら、悲しくて仕方がなかった。