一番星のキミに恋するほどに切なくて。《改装版》
「蓮、なんだか、ワクワクするね」
運転する蓮に、あたしは笑顔を向ける。
「ワクワク?俺は、緊張で死にそうだ」
「ふふっ、そんな顔しなくても、2人は優しいよ」
あたしが笑うと、蓮は恨めしそうに笑う。
「娘を嫁にもらうんだぞ?」
そう、あたし達は、結婚するための挨拶に家に向かっているのだ。
「特に、お前の兄貴は、俺を敵だと思ってるしな」
「えぇっ?喜一お兄ちゃん!?」
「お前を拾った事、まだ根に持ってるだろ」
喜一お兄ちゃんは、過保護なくらいにあたしを大切にしてくれていた。
あたしが、心を開いたのも、喜一お兄ちゃんがいたからだ。
「あたしが大好きな人の事、喜一お兄ちゃんは嫌いになったりしないよ」
「大好き……」
あたしの言葉を繰り返しながら、蓮は顔を赤くする。