一番星のキミに恋するほどに切なくて。《改装版》
「悔しいけどな、夢月を変えたのは、秋武さんだ」
喜一お兄ちゃんは蓮を真剣な瞳で見つめた。
「俺にとって、夢月は初めて出来た妹で、俺なりに全力で守ろうって思って大切にしてきたんだ」
そして、少し寂しそうに笑ってあたしを見つめる。
「ただ……。俺の大事な妹を、救ってくれてありがとうございました」
「喜一さん……」
頭を深々と下げる喜一お兄ちゃんに、蓮は目を見開く。
「さんとか、止めろよ!俺の、義理の兄になんだろ、蓮さん!」
「っ!!」
そして、喜一お兄ちゃんはニカッと笑う。蓮は、泣きそうな顔で目を押さえた。
「なら俺は、蓮くんの義理のお父さんになるね。やぁ、家族増えて嬉しいよ」
豊さんの言葉に、蓮は頭を下げる。
「ありがとう…ございます」
蓮さんは、涙を浮かべながら笑った。
「ただ、2人は夢月の心を埋められなかったと言ってますが、それは違うと思います」
蓮の言葉に、2人は目を見開く。
「夢月は、2人を傷つけたくなかったから傍を離れた。それは、裏返せば、2人が大切だったからです」
蓮……。そう、あたしは2人が大切だった。
「夢月は、大切な人を亡くしてしまったけど、同時に、また大切な人に出会えた」
「うん、あたしは………」
蓮の言葉を引き継いで、あたしは笑う。